自筆証書遺言 Q&A

 

遺言全般

Q 遺言にはどのような種類がありますか?

A 主なものとして、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言などがありますが、自筆証書遺言と公正証書遺言が一般的なものです。

Q では、自筆証書遺言と公正証書遺言はどのような使い分けをしますか?

A 自筆証書遺言のメリットは、そのスピードと費用の安さといえるでしょう。紙と筆記具があれば、その場でも作成できます。特別な費用もかかりません。
一方公正証書遺言は、公証人に作成してもらうため相続発生後紛争となりにくい、また、より正確なものができる(その結果、登記などの面でよりスムーズです)ということなどがメリットです。
弁護士としてかかわらせてもらう場合、できるだけ公正証書遺言の作成を薦めています。

Q 「相続させる」と「遺贈する」の違いは?

A 法定相続人の誰かに相続財産を譲る場合、「相続させる」と表記するのが一般的です。それには理由があります。
法定相続人以外の第三者(内縁の妻や孫など)に自己の財産を譲る場合、「遺贈する」ということになるでしょう。なお、定義的に言うと、遺贈とは、遺贈者が遺言によって行う財産の無償での譲渡をいいます。


自筆証書遺言について

Q 自筆証書遺言の作成方法は?

A 全文、日付、名前を自書し(つまり直筆で書く)、押印することで作成します。

Q 未成年者は遺言できますか?

A 未成年者でも満15歳以上であれば、遺言を行うことができます。親権者が代理で行うことはできません。

Q DVDやハードディスクなどの記録媒体に録画する方法で遺言できますか? 

A できません。書面で行う必要があります。

Q 書き込む紙はどのようなものがよいでしょうか?

A 特に法律では定められておりません。ただ長期間の保存に耐え、また書かれた文字がにじんだり消えたりしないように注意したほうがよろしいでしょう。

Q 使う筆記具は?

A これも別段の定めはありません。ただ、後々偽造の問題などにもなりかねないので、ボールペンや万年筆での筆記がおすすめです。

Q 縦書きでも横書きでも大丈夫ですか?

A どちらでも大丈夫です。

Q 字数制限や行数制限はありますか?

A 特にありません。

Q 遺言書のタイトルは必要ですか?

A 法律上は求められておりません。ただ、その意思を明確にするために「遺言書」「遺言状」などとタイトルをつけるとよいでしょう。

Q 本文の書き方は?

A 法律で定められているわけではありません。

Q 2枚目以降との間に契印が必要ですか?

A 法律上は求められておりませんが、遺言として一体のものであることが疑われるような可能性があるならば、契印等により一体であることがはっきりするように工夫しておくといいでしょう。

Q 封をする必要がありますか?

A 法律上は求められておりません。ただ、紛争の防止などの観点から封印することをおすすめします。その場合相続発生後に勝手に開封してはいけません。検認時に家庭裁判所において開封することとなります。

<Q&A 目次へ>

Q 自筆証書遺言の作成には、証人の立ち合いが必要ですか?

A 不要です。

Q 訂正方法は?

A 訂正場所を示して、変更したことを付記する必要があります。その上で、署名し、かつ変更場所に印を押す必要があります。

Q 作成後の保管方法は?

A 特別な定めはありませんが、金庫などで保管し、紛失しないようにする必要があるでしょう。遺言において、特に財産を渡す人物などに預けたり、第一子などに預ける方法もあります。注意することは、遺言の存在・保管場所等を誰かに伝えておかないと、せっかくの遺言が誰にも発見されない事態も起こりうるということです。内容をオープンにしてもいいのであれば、次世代の複数名に伝えておく(その際には、写しを渡しておくことも可能です)といいでしょう。

<Q&A 目次へ>

Q 作成後、内容を改めたい場合は?

A 訂正方法に従って訂正するか、改めて作り直すことになります。内容が矛盾する遺言が複数ある場合、新しい方の遺言が有効になりますので、新しく作り直すことで、内容を改めることができます。ただし、それがもとで後々の紛争にならないように、配慮しておくことをお忘れなく。

Q 遺産を引き継がせようと思っていた者が先に亡くなった場合、どうなりますか?

A そのままでは、法定相続分で分けられることになります。それを避けたければ、改めて、遺言を作成し直すことを検討する必要があります。なお、当初の遺言において、引き継がせようと思っていた者が先に亡くなった場合は、第2番目の候補者を記載しておけば、二度手間にならずにすみます。

Q 遺言で譲る対象とした財産について、遺言者が生前に自分で処分することはできますか?

A 処分することができます。この行為により遺言が撤回されたということになります。
 

<Q&A 目次へ>